サルマン・カーンさんから学んだこと

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まとまった休みというのは本当に素晴らしい。読みたかった本を一気に読める。今回一発目に読んだのは、「ルポMOOC革命 無料オンライン授業の衝撃」金成隆一著。MOOCの大体のことは知っていたけど、他のオンライン無料授業に関連する内容も含めて腰を落ち着けてじっくり読んだのは初めてだった。

本の内容を一言でまとめると、「テクノロジーの普及と継続した学びへの要求によって、学びかたのフレームワーク再定義が求められており、世界で試行錯誤が始まっている」というもの。

MOOCは本当にすごいと思う。米国の特に最高峰に位置づけられる大学の講義が無料で受けられるのだから。ぼくもバンタヤン島の休暇からセブに戻ったら、すぐに受けてみようと思う。たぶんAI関連のコンピュータサイエンスか、心理学、脳生理学、マクロ経済学など。

一方、実際の講義の配信作業に莫大な費用がかかるのも事実。ほとんど寄付で成り立っているのだけど、それはネームバリューがある超一流大学だからこそ。準備に超大金が必要で、かなりしっかりとした仕組みが必要という、あまりにも大がかりな仕掛けは、もしこれから自分でやるとしたら自分には合わない。しかもかなりの専門高等教育だし。

■ カーン・アカデミーの理念こそ、自分がやりたい次世代海外日本語教育の姿

教育に少しでも携わる人だったら一度は聞いたことがある名前だと思います ⇒「サルマン・カーン」氏。ビジネスマンを辞めて教育に身を投じた方。一年ぐらい無職で食べていけるだけの貯蓄を残して、ヘッジファンドを退社。

ヘッジファンドは今(カーン・アカデミー)よりも10倍は稼げて、ミリオネアになれる世界だしね、それは魅力的だよ。でもね、いまカーンアカデミー設立をやらないと後できっと後悔すると思ったんだ。(同著)」

カーン氏が目指しているのは、「生徒一人一人が自分のペースで学べる完全習得学習」。

一つの単元が終わると、全員で一斉に前に進む。ここに無理がある。

一斉授業の限界、非効率さに関しては、ぼくも日本語教師になってすぐの頃から強く感じていました。そして、運良くベトナム人の非ネイティブ講師とのペアティーチングという専任の仕事を14ヶ月行えたことで、アクティブラーニングもどきのスタイルをかなり確立できたと思います。

ただ、いまセブでひらがな・カタカナからゼロスタートするクラスの『ガチの』担任になって、数ヶ月ののち、どうしても落ちこぼれたまま伸びてくれない生徒と向き合うことになりました。

その生徒は、授業態度がすごく真面目で、ノートをとてもきちんととる生徒(これがいいのか?という議論もありますが)。授業の中でも負担にならない程度にたくさんあてたし、ペアワークでも極力できる生徒と組んでもらったりして底上げを図るもなかなか伸びない。テストは15回連続不合格。

中間の1:1面接でも、その生徒からは「日本語は難しい。助詞が全然分からない。語彙が覚えられない。」という嘆きばかり。どうやったらこの生徒はできるようになるのだろう、と、本当に頭を悩ませられました。

(結局、その生徒はできる生徒と一緒に学校前にフードコードで勉強を続けることで成績をリカバリーしました。)

■ 学習者個々の勉強するペースを限りなくサポートできる授業へ

ぼくの今やっているスタイルは、尊敬しているオーストラリア大学院の教授の手法を若干真似しているところもあって、「予習の幅を学習者に委ねて、授業はこちらからの発問で始めて、学習者にどんどんチャレンジしてもらう」というもの。

できる生徒にはいいかもしれないが、正直、学びが遅い生徒にはきついと思います。でもどうしても、講義型の一斉授業を辞めたいとポリシーがあるので、授業の中でセーフティネットをかけることでこれを由としていた。

カーン氏はこう言う。

今は学習時間を固定し、理解度を変数にしてしまっているでしょ? 本来は、すべての生徒が到達するべき理解度のほうを固定して、そこまで到達するのに要する時間が生徒によって異なることを許容するべきだ。

だから、これからの教師は従来のように生徒をランク別に評価する立場ではなく、生徒が目標を達成するために伴走しながら導いてくれるスポーツチームのコーチのような存在であるべきだと。

本当にその通りだと思います。自分もやってはいるつもりだったけど、全然ほど遠かった・・・。休み明けの授業からはより生徒に近い場所でパーソナライズされた助言ができるようにしたいと思います。

そして、そのために、文型導入のショートビデオを作ることにしました。ちゃんと理解度確認クイズも入れて。学びが遅い生徒には何度も巻き戻して見てもらって、自分のペースで納得いくまで予習してもらおうと思っています。そして今までどおり授業は活動と練習問題中心のアクティブ・ラーニングに磨きをかけていくつもりです。

併せて、できる生徒にはカリキュラムのペースを気にせず、どんどん先に進んでもらおうと思っています。追加のタスクもたくさん用意するし、ちび先生としてクラスにもっと貢献してもらいたいと思ってます。ゆくゆくは本当に先生になってくれるととても嬉しい。

想像すると、楽しくてしょうがない。じゃ、またーー。

 

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