落合陽一さんがTVで最近こんなコメントをしていた。
『ポジションをとることが大事。とにかく自分の考えに基づいてポジションをとって、まずは何らかの関わりを持つことが大事。ツールは揃っている。とにかくやってみること。あれこれ考えているうちに明日になってしまうと何も残らないでしょう?』
ポンッと背中を後押ししてくれる一言だった。そう、今まではプロフェッショナルとしてこの業界に適応することばかりを考えていた。でもただそれだけでは足りないのだ。自分の強みが活かせ、自分が心底取り組みたいと思っているブルーオーシャンにしっかりと足場を築き、そこからこの業界を眺め、影響し合い、たずさわっていくべきなのだ。
そう、ポジションをとるということ。
■ 現在の(在日本)日本語学校は進む道が運命づけられている
この本がおもしろくてたまらない。『教育×破壊的イノベーション ~ 教育現場を抜本的に改革する』クレイトン・クリステンセン著。内容が濃厚なのでまだ序盤のほうだが、早くもじゅんじゅんと思考を刺激する。まさかここまで「産業と歴史」の側面から教育を分析していくとは。本当にすごいです、クリステンセン氏。
新しい平面の破壊的製品は、元の顧客には魅力的に映らない。既存顧客はそれを欲しがらないし、使うこともできない。企業には既存顧客のニーズを満たすという使命がある。そのため、元の競争平面の製品を作っている企業が、並行して新しい破壊的な平面にも参戦するのは非常に難しい。
日本語教育業界的にコンパイルすると、既に生徒と教師と学び方が確立してしまった日本語学校は、現在あるいは近い将来抱えることになる顧客(学習者)を満足させることが余儀なくされている。<つまり、日本の大学に進学したい留学生へのハイエンド教育(N1/N2など)と、出稼ぎに来ているマルチナショナル留学生へのミドル~ローエンド教育。> 需要があって尚且つそこへ高品質なサービスを提供し続けなければならないとなると、異なる客層、異なる種類のイノベーションを起こすことは難しいということ。
必然的に今までの積み重ねの延長線上をたどるしかないわけです。いい悪いの問題ではなくて。それで日本語学校は儲かるわけだし、生徒も満足できて、教師も一定の給料を受け取るわけだから、そこで健全な「三方よし」のビジネスモデルができあがっているのです。
■ 初級に特化して、破壊的イノベーションを起こしてみる
でも、海外、特にフィリピンにいる立場からこの既存市場に適応しようとしたところで、レッドオーシャンの海に飲み込まれるだけ。日本で働いている日本語教師の方々がたくさんいるわけだから、そこはそこでお任せして、自分にしかできないブルーオーシャンに身を投じて、ポジションをとってみようと思う。
それは、海外でシングル国籍の学習者が学ぶ「超初級」と「潜在的未学習者の取り込み」。ここのイノベーション。
テクノロジーの恩恵を最大限に活用した、
- 全く新しい授業とコンテンツのイノベーション
- 評価とフィードバックを完全パーソナライズするというイノベーション
- シンプルな初級授業短編ビデオを無料でネット配信しまくるというイノベーション
によって、日本の日本語学校の手が届かない部分をやる。走らせながら、修正していく。今、実際それができる環境なわけだから、やらない手はない。
低価格、高効率で初級を学び終えた学習者たちは、次のステップに進むというオプションを得ることができるわけで、もしそれが日本への留学につながるなら、日本の日本語学校ともWin-Winの関係ができる。
楽しくてしょうがない。じゃ、またーー。