クレイトン・クリステンセンの「教育×破壊的イノベーション」、新たな視点での気づきを与えてくれ、フラグメントしていた情報や思考を整理してくれる、本当に素晴らしい本。
間違いなく、教育はどんどん「個別化」の方向へ進んでいくと思われますが、そのためのプラットフォームづくりと並行してすぐにでも手を付けられることを始めたいと思います。
それは、ラーニング・プロセスのモジュール化。
まさにソフトウェア設計時に、処理プロセスを定義していくように。
結局は、学びの「個別化」= アプリ(ソフトウェアツールもしくはAI)ベースのラーニングを通した「個別化」になっていくはずなので、まずはラーニング・プロセスを最小単位のモジュールまで落とし込むことが必須となるのです。
■ モジュール化することで得られるもの
このモジュール化作業で可能となることは、大きく3つあります。
- ラーニング・プロセスの可視化
- 最小単位での、つまづきの把握と評価(コーチングを促進)
- できる生徒の無限学習
です。
まず、1.ラーニング・プロセスの可視化によって、生徒・講師双方でトレイル・トレッキングのルートを把握しながら学びを進めていくことができます。ただ教科書を見て、膨大な量の日本語の海、練習問題の海に溺れてしまうのではなく、道しるべを確認しながら自分自身で進みをチェックすることができます。
これは、手探りで暗闇を進む不安さを解消し、通ったトレイルにコーナーストーンを置いていくような安心感をもたらします。
そして、2.(これは本当に大きいリターンなのですが)最小単位で生徒のつまづきの把握と評価ができるということです。例えば、「みんなの日本語」でいえば、課毎の一斉テストでは不十分な「理解の漏れ」や「生徒個人のつまづき」を細かく把握できるということです。モジュール単位で把握していくことによって、理解できないまま次のステップへ進まされるということを未然に防ぐことができます。つまり、文型毎の構造理解、例文と語彙コロケーション、対応する練習問題Bなどを最小モジュールとして「パッケージング」して、その単位で理解とタスクへの取り組みを促すということです。それも、生徒個々のペースで。
ゆくゆくはこれがアプリ側で行えることで、クラス全体をビジュアルにモニターしていけると思うんですが、まずはマニュアルで。クラスを歩き回り、理解度合い、進み具合を観察し、個別にコーチングしていこうと思っています。そして、生徒個々の評価も記録していくつもりです。今のクラスはほぼ10人前後の構成なので十分できると考えています。
最後は、3.できる生徒の無限学習です。パーソナルなアハ体験を通じて理解し、どんどん先へ進んでいきたいのに、カリキュラムに制限されて手綱が引かれてしまうというのは、大きなモティベーション損失です。生徒によって明らかに学び方とペースが違うのだから、理解の進みに差が出て当然。でも、できる生徒に沸き起こる動機付けの芽を摘みたくない。だからこそ、理解できたら無制限に思う存分進んでいっていいと思っています。モジュールをつないでいったラーニング・プロセスのマップは、生徒に「次に何をやればいいか」を導いてくれます。
■ 小さな実験の繰り返しのフィードバックループによってブラッシュアップしていく
これを、N4レベルまでの初級(みんなの日本語でいう、赤本・青本+αぐらい)の枠組みの中で授業と並行しながら少しずつ実験していきたいと思っています。これから半年でほぼ一周半ぐらいは試せると思うので、そこからフィードバックループを効かせて、モジュールとプロセス、評価方法などを日々改善していきたいと考えています。
来年はさらに忙しくなりそう、でもこれだから、楽しくてしょうがない。じゃ、またーー。