無資格だった自分が、プロの日本語教師を打ち負かした話 <きっかけ編>

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あれは2015年初頭のこと。オーストラリアでの大学院生時代。生徒が生徒を紹介してくれるいいループに入って、日本語プライベートチューターもそれなりに多忙になっていました。ただ生徒は基本的に超初級で、割と短期間集中のレッスンだったり、途中で止めてしまったりする生徒も結構いました。

そんな中、その後のチュータリングコンテンツと進め方を変えるきっかけとなる、ある方に巡り会うことになります。その方は、オーストラリアの州政府のとある局に勤務する職員で、日本の教育業界と仕事をしているとのことでした。

いつものように、アクセスのよい街の図書館で待ち合わせ。Government関係者ということで、ちょっと緊張していたもですが、会ってみたらとても気さくな雰囲気の人。話を聞くと、元々教師で、ちょっと飽きたから今キャリアチェンジで州政府関係の仕事をしているとのこと。日本に数年間住んでいたこともあって、話す日本語はびっくりするほどハイレベルでした。

その方の要望は、3つ。

  • 広報用のプレゼン数種類を日本語化したのだが、翻訳者に専門知識がないので、日本語そのものをブラッシュアップしてほしい。
  • その資料と話すスクリプト作成を手伝ってほしい。
  • JLPT的なものじゃなくて、ビジネス日本語をもっと強化したい。

ということでした。

■ ユーザーの要件と自分の得意分野がマッチングしたときの強さ

まさにど真ん中のストレートをジャストミート。「これって、今まで自分がしてた仕事じゃん!」とばかりに、途端に脳のエンジンがフル回転し出す自分。以前勤務していた外資系企業の資料の元ネタは英語なので、そういうビジネス系の英語←→日本語の翻訳(意訳;))感覚はかなり身についていました。

いいテンポでさくさくと片づけていって、あっという間に約束の1時間が終了。その人もかなり満足してくれた様子で、何週間も先までのアポを入れてくれました。

考えてみたら、オーストラリアに住んでいる日本人で、かつこの手の経験と知識があって、時間単位で手頃な価格でサービスできるチューターなんてほとんどいなかったんだと思います。その街で見かける日本人自体少なくて、大体はワーホリか、出張で短期間いるサラリーマンぐらいでしたから。

本当にその人と自分はマッチングした!wという感じで、チュータリング自体もいつも達成感があり、とても楽しいものでした。ビジネス日本語に関しては、アマゾンでBJT(Business Japanese Proficiency Test)の対策本(語彙集付き)を買い、自分なりにアレンジして教材として使っていきました。今から考えればカリキュラムも特にない、その場その場をただつないでいく形の本当につたないレッスンだったと思いますが、とにかく自分で工夫して1時間のレッスンを作るという作業を続けたことは、貴重な体験として今のキャリアにもつながっていると思います。

結局その人はそれから約1年弱、ほぼ毎週、チュータリングを続けてくれました。

■ オーストラリア時代、最強のゴールデンジョブ、『法律事務所』の日本語レッスン案件を紹介してもらう

その州政府関係の方がハブとなり、あるとき、「法律事務所で働いている友達が、日本語を勉強したがってる」とのことで、ある方を紹介してくれました。若手弁護士のBさん。レッスンを契約する前に一度会いたい(つまり、面接したい)との要望を受け、指定のカフェへ行きました。そこへやってきたのがBさんです。

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長身細身のビジネスカジュアルスタイルで、いかにも仕事ができそうなスマートなエグゼグティブ・オーストラリア人。20代後半といったところ。「日本語、どれぐらい話せるのだろう」と思ってたら、ペラッペラッ!でさらにびっくり。

話を聞くと、高校生の時に日本へ交換留学生として行って、ほぼ高校時代の全てを日本で過ごしたとのこと。だからか、教科書で勉強した外国人の日本語ではなく、それこそ高校生が話す、カジュアル体のナチュラルな日本語でした。

一応、面接はOKだったらしく、早速最初のレッスンスケジュールや内容などの話に移りました。要件はシンプルなもので、「パーティーなどで日本のビジネスマンと接する機会が多いので、ビジネス日本語でよく使うフレーズや語彙などを勉強したい」とのことでした。

もちろん、問題なし! さらに話のネタとなる日本の商習慣や文化の話なども取り入れつつ・・などと考えながら話を続けていると、Bさんから、思いもよらぬ価格の話が出てくることになるのでした。

(そして、このBさんとの仕事が、自分のオーストラリア時代最強のゴールデンジョブとなり、慢性金欠気味の留学生活を支えることになるのです。)

■ まさかのチュータリング代「値・上・げ」をオファーされる

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Bさんは、こう切り出してきました。”Nunoさん、チュータリング代、1時間$25とのことですが、『安すぎます』・・・。日本語研修費として会社が経費で払うことになるのですが、こんなに安いと、どんな講師から研修を受けているんだ!?とかえって怪しまれます。せめて1時間$100でお願いできませんか。」

はーーーー!?? ユーザー側が値上げを要求することなんて、あるのか?? しかも提示価格の4倍も!!【実話です、もちろん】

当然、当然、当然、即OKして(自分からイヤラシイ笑みがこぼれないかどうか、がんばって表情をコントロールしましたw)、レッスンスケジュールの確認とともにビジネスマンらしい固い握手をして、さわやかに去ったのでした。

(面接したカフェから帰るときのあのどうしようもないわくわく感、今でも思い出すなあ・・・。)

で、初レッスンの日、襟付きのシャツを着て、法律事務所が入っている高層ビルへ向かいました。インテリジェントエレベーターで高層階へ向かい、受付で名前を告げてゆったりとしたソファで待っていると、Bさんが笑顔でやってきました。

1時間$100仕事ということだったし、州政府関係者からの紹介でもあったので、それなりにレッスンの準備をし、Bさんと会議室に入りました。また、もうそのころにはマンツーマンのチュータリングスタイルに慣れていたので、どうにかやれる自信もありました。

そこへ、まさに聞いていない状況が発生します。

「こんにちはー」「Hello, コンニチワ」・・・次々にオーストラリア人が会議室に入ってきます。そう、それは<初の>クラスレッスンとなるのでした・・・。

続く

1件のコメント

  1. […] その反面、以前ぼくがオーストラリアの法律事務所で日本語チュータリングを行ったときには、<無資格の>自分に、彼らはなんと1時間$100も払ったのです。日本の日本語学校のコマ給の約5倍です。(参考記事: 無資格だった自分が、プロの日本語教師を打ち負かした話 <きっかけ編>) […]

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