おとといの夕方(2018年1月18日)、仕事が終わった後、セブの非ネイティブ日本語講師勉強会に初参加しました。セブの他の学校の先生に会うのも初めてですし、何より「非ネイティブ講師の勉強会」というところにとても興味を感じていました。
Facebookの告知で書かれたアジェンダも事前に詳しくチェックせず、正直、とりあえず飛び込んでみたというところなのですが、予想以上に収穫があり、刺激を受け、授業をもっともっと良くしていこうという非ネイティブ講師の方々の強い意志も感じられて感動すら覚えました。
テーマは、「日本のTVCMを活用した授業をやってみませんか。」というもの。
ドラマやアニメ、映画などは割とコンテンツでよく使われていますが、正直、TVCMというのは盲点でした。でもこれについて「結構日本語の学習に使えますよね」という認識が参加者全員でシェアされたとき、この勉強会(というかワークショップ)が一気に盛り上がるのでした。
■ なぜTVCMがいいのか、ディスカッション
既に日本のTVCMを授業で使っているフィリピン人の先生がリードして、プロジェクタを使いながら、全員でディスカッションしました。
なぜ他の映像コンテンツではなく、「TVCM」なのか、大体下記のようなメリットで意見が一致しました。
- 短い(30秒程度なので、使いやすく、繰り返し見られて飽きない)
- わかりやすい(いいたいことやシナリオが練られている。セリフの間がない。)
- 活きた、口語日本語(教科書で学べないリアルな表現。「ですよね」「ていうか」など)
- 今の日本を知ることができる(出演タレント、流行、音楽、風景など)
- N5~N1まであらゆるレベルで活用できる
まず、全員で、そのフィリピン人の先生が使っているTVCMを視聴して、どんな風に授業に使えるか、どんな風に教材まで落とし込んでいくかなどを話し合いました。
↓ 題材は、吉岡里帆さん・星野源さん出演の「日清どん兵衛」
■ 授業での使い方は、ほぼ他の映像コンテンツと同じ。でもより使いやすい。
そのフィリピン人の先生が授業で取り入れているTVCMの使い方は、他の映像コンテンツ(会話DVDやアニメなど)とほぼ同じでした。ただ、やはり尺が短くて、その分ストーリーやキーワードが練られた状態でまとめられているので、「授業で使いやすいですよね」ということで意見が一致。
ウォーミングアップや導入時のアクセントとしても使えますし、しっかりと時間をとってメインの教材としても使えそうです。
■時間も忘れて授業プランを作る
それからグループに分かれて、即席授業プランを作成し、模擬授業形式で発表しましょうということになりました。作業としては、
- 2017年のCM集から、授業で使えそうなものを一本だけ選ぶ。(会話がちゃんと入っていて、面白いもの or 学習者を引き付けそうなもの。)
- スクリプトを作る。(※ここは、非ネイティブ講師の方にはちょっとチャレンジングだったため、ぼくが担当しました。音声入力の精度がもっとあがってくれば、ある程度自動化できるかもしれません。)
- 問題を作る。
ぼくたちのグループは、広瀬すずさん出演のフジカラーCMを選び、問題として
- 5W3H系のQ&A (これは、何月ですか。ここはどこですか。どうすれば、写真のプリントができますか。など)
- 語彙や文型を意識したセリフの穴埋め(<やっぱり><持ってくるだけ><なんでもやるんです>など)
を作りました。
一応、ターゲットはN4ぐらいの学習者を想定したものにしましたが、もっとレベルが高ければ、スクリプトを使った、よくある「なりきりアテレコ」などの活動もできると思います。
で、この作業が結構楽しくて、まずあまりTVCMをまとめて見ることがなかったので、日本の流行り事情を知ることができたという発見があり、かつ選ぶ⇒授業を考える⇒問題を作る、というグループワークは時間を忘れてしまうほどとても有意義でした。
協働作業も楽しいものですね。
■ やっぱり映像コンテンツは、授業に使いやすい
模擬授業もやってみて、改めて教材としてのTVCMの面白さ、使いやすさを痛感しました。セブではほかにも、JPOPや絵本の朗読、日本の子供のインタビュー(難しい語彙や文型、言い回しがない)なども映像コンテンツとしてよく使われている事を知りました。
文字を読むという練習は本当に必要。多読は、もちろん言語習得でかなり重要なアクティビティに違いないのですが、それとは別にもっと意識した映像の活用、特にこのTVCMという短時間のストーリーを授業で使ってみると、学習者の脳も少しリラックスした形で楽しめて、「いつの間にか勉強していた」という状態が作れて、いいかもしれません。何より記憶へのインパクト大です。
早速来週から取り入れてみようと思います。じゃ、またーー。