日本語教育関連のツイッターのタイムラインを見ていて一番ためになるのは、「日本の日本語学校界隈」の生情報がじゅんじゅん流れてくること。日本語教師の方々のつぶやきやリツイートは本当におもしろい。
純粋に、日本語教師と言っても、「日本の教育機関」で働く日本語教師と、「海外の教育機関」で働く日本語教師とでは、もはや異業種と言ってもいいぐらい全く仕事の内容が違うと言えます。
今回、【日本の】日本語教育人材紹介サービス会社 トレデキムのジョブスタッフさんがブログで貴重な情報を掲載されていたので、それに対する自分の考えを書いてみようと思います。それも、用意周到に時間をかけた深い分析ではなく、直感的に今自分が思うことを素のまま率直に書き残してみようと思います。
以下、トレデキム様が日本語学校説明会で主に未経験者の求職者からよく受ける質問を10項目にまとめたもの、とのことです。
今回はセミナーで求職者の方からよくある10の質問をご紹介したいと思います。
1.未経験でいきなり専任(正社員)で働くのは難しい?(雇ってくれない?)
2.教職員の専任・非常勤それぞれの残業はどのくらい?業務量は?
3.高齢でも働けるの?
4.しっかり研修してもらえる?/研修って、どんなもの?厳しい?(ちょっと怖いな…)
5.日本語教師になったはいいけど、2,3年後、もっと先の日本語教師としての自分の姿がイメージできない。
6.未経験から非常勤で何校か掛け持ちは可能なのかな?
7.学校見学させてもらったら応募するって思われてしまうかも…(学校見学させてもらっておいて、断るのも申し訳ない)
8.未経験者の給与額の相場はどのくらい?
9.「日本語教育能力検定試験」は取ったほうがいいの?持ってる人と持っていない人の違いはあるの?
10.どんな学生がいるの?(学生について知りたい)
■ 海外日本語教師のぼくからの回答
1.未経験でいきなり専任(正社員)で働くのは難しい?(雇ってくれない?)
全然難しくありません。海外特にアジアの日本語学校では慢性的に人が足りていない状況です。例えば日本人が英語を勉強するためにスクールに行こうと思ったとして、いきなりアメリカやカナダに留学する人と、最寄りの英会話スクールなどに行く人とどちらが多いか、という話ですよね。
しかも当然ながら、海外に中長期で滞在できる(している)日本語教師資格のある人材って、日本国内に比べたら断然少ないんです。
ですので、海外の日本語学校からしてみたら、「ネイティブ講師が在籍しています」ということだけで売りになるわけですから、未経験者であっても採用意欲があるわけです。
ちなみに、ぼくが初めて専任で勤務することになったベトナム、ハノイの日本語学校は、ぼくがまだオーストラリアで420時間養成講座受講中にSkype面接して、「専任」として採用いただきました。
2.教職員の専任・非常勤それぞれの残業はどのくらい?業務量は?
残業ゼロです。授業が終わったらすぐ帰ります。海外の学校では残業の文化自体がありません。また、日本の日本語学校にあるような、「進学指導」とか「生活指導」とかは教師の仕事として認識されていないので(=専任のスタッフが対応します)、教師は基本的に授業に100%フォーカス可能です。
3.高齢でも働けるの?
もちろん、働けます。表向きは。年齢的には50代後半ぐらいまでは。が、正直、微妙だと思います。海外の日本語学校が前提だとして、もし定年退職や早期退職などしてこれからのやりがいを見つけたいから、日本人の少ない海外で教師などやってみたい、というような感じであれば、かなり難しいと思います。JICAのシニア海外ボランティアなどのほうが向いているのではないでしょうか。
実際、海外で日本語を学ぶ生徒たちは、20代がほとんどで、日本での労働意欲がある技能実習生、大学への留学希望、現地日系企業の社員、そしてアニメやJ-POPなどの趣味が高じて勉強するITリテラシーの高い人たちなどとなります。
外国のワークプレースの中で外国人としてマイノリティとして働くわけですから、適応力や柔軟性がかなり求められますし、生徒だけでなく非ネイティブ講師やローカルスタッフとのコミュニケーション能力も大変重要です。またこれからはITリテラシーもかなり重要。
現地の「日本語学校」は、いわば現地の駅前留学であり、経営者もビジネス感覚鋭い人が多いですから、やはり若手から中堅の意欲あふれる現代的な人の方が向いていると言えます。
4.しっかり研修してもらえる?/研修って、どんなもの?厳しい?(ちょっと怖いな…)
ぼく自身、日本語学校に研修してもらったことが一度もないので、なんとも言えないのですが、どんな研修が必要なのでしょうか。ちょうど今週末、ツイッターの #日本語教師チャット でこのテーマをやるので、楽しみにしています。
日本語教師として一番勉強になるのは、とにかく何でもいいから自分で毎日考え、工夫し続けること。これしかないと思います。自分が解決したい課題が見えてくれば、それにうまく対応している他の教師が見えてくるもの。その教師との情報交換やお互いの授業見学などができればそれが一番効果的な研修になるはずです。
もし研修、研修したものが必要なら、外部のに参加すればいいし、他の学校の教師たちとワークショップ等をしたほうがためになることが多いと思います。
5.日本語教師になったはいいけど、2,3年後、もっと先の日本語教師としての自分の姿がイメージできない。
日本人はいつも先のことを考えすぎだと思います。また一方、何かに所属するという気持ちも強すぎだと思います。
この際、(たとえ専任であっても)日本語教師 = フリーランスぐらいの気持ちでいたほうがいいのではないでしょうか。フリーランサーとして自分の思う授業、教材、働き方などを追求していけばだんだん自分の理想的な日本語教師像が浮かび上がってくると思います。
そしてそれはあくまでも将来像1.0ですから、内部・外部の環境変化に応じて、1.5や2.0に次々とアップデートしていけばいいと思います。
またフリーランサーだったら、何かに自分の将来像を制約されるリスクも少ないですから、縮こまって周りをキョロキョロ見ずに、もっと自由にやりたいように授業をやっていけば不安は消えてくると思います。
さて、半分に答えてみたところで、ちょっと長くなりそうなので、一旦締めます。続きはまた後日。じゃ、またーー。
[…] さて、前回の続きです。 […]
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