「米津玄師」と「周杰倫」の作曲方法から考えてみた、授業のオリジナリティー

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どうも、ぬの★セブです。

Spotify、Amazon Music、iTunes、YouTube・・・。好きな音楽がいつでもどこでも手軽に聴けるようになって本当に便利ですよね。

ただ、手軽なだけについ、~しながら聴く、というふうに「BGM」的な付き合い方が多くなってしまいがちな音楽ですが、ときには向き合ってしっかり味わって聴くのもまた格別なものです。(中高生のころは、いつもそうやって聴いてたなあ、などと思い出します。)

そして、誰しも何回聴いても飽きない、何年も何年もずっと聴き続けているお気に入りの曲があるかと思います。詩や曲の雰囲気によってその時代の空気感や個人的な思い出などがよみがえるという要素ももちろんあるでしょう。

またそれと同時に、何か言葉では言い表せない、その曲(作者)が持つ世界観と自分の世界観《特に美的な》が共鳴して「わけもなくとにかく好き」という感じもあるのではないでしょうか。

「うわあ、すごいな、どうやったらこんな曲作れるんだろう・・・」とそのアートな才能に感心するばかりなのですが、そのミュージシャンが作った曲の数々は、どこかやっぱり【その人らしさ】があるのです。

それをオリジナリティーと言い換えてもいいかもしれません。

でもそのオリジナリティーをどうやって「音楽」という形で表現できるのか、そんなことを頭の片隅で考えていた時に、ふと目に留まった、ある記事がありました。

Webに掲載されていた、米津玄師のインタビュー(2017.10.30)です。⇒米津玄師が語る、音楽における“型”と”自由”の関係

とても興味深い記事で、ぼく自身、日本語教師としてもインスパイアされるところがあったので、今回はこのインタビューを引用しながら、日本語教師/授業というコードに(ぼくなりに)コンパイルしてみたいと思います。

米津:“俺はオリジナリティー信仰みたいなものが嫌いなんですよ”

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米津:音は基本的に全部、サンプリングのトラックで成り立っていて。俺はオリジナリティー信仰みたいなものが嫌いなんですよ。誰も見たことも聞いたこともないものしか許さない、と言ってしまう感じ。本当に根源的な意味で、誰も見たことも聞いたこともないものを突き詰めていくと、最終的にはノイズミュージックとかになっちゃう。

米津玄師が語る、音楽における“型”と”自由”の関係

いきなり、きましたね :)。作った曲のピース、ピースは、全部サンプリングから成り立っている・・・。つまり今まで何ジェネレーションにもわたって数多のミュージシャンが作り上げてきた曲の数々の中から、自分が使いたい要素を抽出しているということなのだと思います。

>> 日本語の授業でいえば、今までのいろいろな先生の授業アイデアを「パーツ」として取り入れたうえで授業を構成している、という感じでしょうか。

そして、誰も見たことも聞いたこともないものしか許さない、というオリジナリティー信仰は嫌いだ、とバッサリ斬っています。

>> 日本語教師たるもの、自分の授業や教材はゼロから作って当然・・・自分でゼロから考えて当然・・・という、もしかしたらどこかの日本語学校で言われているかもしれない「オリジナリティー信仰」は、本当に何か意味があるのだろうかという問いにつながってきます。

そして、米津玄師は続けます。

米津: 音楽って、フォーマットじゃないですか。“型”のようなもので成立している部分があるのは事実で、そのなかでいかに自由に泳ぐかじゃないかと。

>> そのまま言い換えると、「授業」って、フォーマットじゃないですか・・・となり、おもしろい思考訓練になるかもしれません。

誰かしら「教師(という存在)」がいて、日本語を学びたい「学習者」がいる。教室やネットやその他空間という「場所」において、何らかの「教材」や「学ぶプロセス」があり、最終的に(大小あれど)何かを「学ぶ」:

一応「授業」をもしフォーマットだと仮定すると、だいたいこのようになるかと思います。

ICTを組み込んだり、斬新なプロジェクトや活動を取り入れたりなど、変化はつけられたとしても、大筋としては、まあまあ - “型”のようなもので成立している - といえるのではないでしょうか。

そして、ぼくが米津玄師の意見で一番心に響いたのは、次の部分です。⇒

“その(型の)なかで、いかに自由に泳ぐかじゃないかと。”

つまり、ある程度「型」が存在する授業(カリキュラム、教科書、教材、指導法などを含む)のなかで、そこを自由に泳ぐ=自分の世界観で組み立てて、自分の授業として学習体験を提供していくことが大事だ、とぼくは連想しました。

まるっきり白紙、ゼロの状態からつくっていくこと≠ オリジナリティーではなくて、既にある素材を自由に使って創造し、フォーマットの上で提供していくこと=オリジナリティーであると。

創造はインスピレーションから。

いろいろな素材から湧いたインスピレーションを授業のアイデアとして形にして、シェフのように調理して提供するところ - ここにオリジナリティーがあるのではないかと思うのです。形にして提供するプロセスそのものがその教師が持っている世界観の照射=オリジナリティーなのでは、と。

天才「周杰倫」が弾いてみせた“型”

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ぼくが昔からずっと聴いている、好きなミュージシャンのひとりに、台湾の超有名アーティスト「周杰倫(zhōu jié lún/ Jay Chou/ ジェイ・チョウ)」がいます。

彼がまだデビューしたての2000年代前半の頃、台湾のTV番組に出演して、作曲方法を紹介するこんな印象的なシーンがありました。

司会:「作曲はどうやってするの?」

周杰倫:《こんな感じだよ》

と言って、ピアノで伴奏を始めました。そして《なんか聞いたことがあるコード進行かもしれないね 笑。》と言いながら、その場で全然違う新しいメロディをつけて歌ってみせたのでした。そして《これが作曲だよ!》と。

つまり、もし(強引に・・・)授業に例えたとしたら、他の先生が考えた授業の流れや教材などを【モチーフ】に、自分の世界観、自分なりの解釈で、授業をやってみた、ということになるかもしれません。

先ほどの米津玄師の“その(型の)なかで、いかに自由に泳ぐかじゃないかと。”というところにまさにつながるのでは、と思うのです。

ちなみに周杰倫は、その後2014年の別のイベントでも、似たようなことを披露しています。POPSのサビのコード進行は大体同じ循環を使っているということを紹介し、あえて自分のいくつかの曲を持ち出して同じコード進行で違うメロディの曲であることをその場で弾いてみせています(0:22付近~0:24ぐらい)。

 

リスペクト + オマージュ ⇒ オリジナリティー

米津玄師のインタビューにもどり、もうひとつ心に響いた部分を紹介します。

米津:(略)・・つまり、どこかで聴いたことがある、どこかで見たことがある、というようなものだと思うんですよね。そういうものを、いかに今の自分に響かせることができるか――それが自分なりのオリジナリティーだと思っているし、極端なオリジナリティー信仰とか、センス信仰はどうにかしてると思う。そんななかで、最初にリスペクトがあり、その上でどうオマージュするかということをすごく考えながら作っていました

米津玄師が語る、音楽における“型”と”自由”の関係

先達・現役の日本語教師の方々が残し、共有されている多くの知的財産(大小問わず)があります。その中で自分がこれ!と思うエレメントを“いかに今の自分に響かせることができるか”。

これはとても大事な考え方だと思います。うっすらと「いいなあ・・」と思っているだけでなく、今の自分、今の環境、今うけもっている生徒、蓄積されてきたスキルの状況下において、《響かせることができる》まで授業の形として実際に落とし込むこと。

そして実際それができたときがオリジナリティーとして昇華するのだと。

今の自分というのは唯一無二。相対する学習者たちと自分との関係も唯一無二。するとそこに響かせられる形の結晶は自ずとオリジナルになるのだと思うのです。

そういう意味で、米津玄師がオリジナリティー溢れる曲作りについて語る『最初にリスペクトがあり、どうオマージュするか』という考え方は、十分いい授業づくりにもつながるのことなのでは、と思うのです。

さいごに

オリジナリティーは、他の先生方がフットプリントとして残されている知的資産や公開されているアイデアの数々に対する《リスペクトと今の自分に響くオマージュ》からできあがっていくもの(・・・仮説)。

でも、ほんとうにそうかもしれないなあ・・自分も日々、いろいろな先生方の論考やアイデアに影響受けながら仕事しているしなあ・・などと思いを巡らせつつ、オリジナリティーについていつもより少しだけ考えてみた午後でした。周杰倫を聴きながら・・・。

じゃ、またーー。

 

 

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